再生医療 エクソソーム療法

実際にはエクソソーム療法という言葉は存在しませんが、最近注目されている個々の細胞が放出しているエクソソームと言う細胞外小胞の一つ(その細胞固有の特徴を反映しているタンパクなどの物質を有している)が幹細胞を培養している培養液内に豊富に含まれていることが分かっており、これを利用した点滴治療であることからこの呼ばれ方をしています。

『自己脂肪由来間葉系幹細胞療法』Cell Based Therapy(セルセラピー)
『幹細胞培養上清点滴療法』Cell Free Therapy(セルフリーセラピー)の違い

一番の大きな違いは細胞を含むか含まないかと言う点です。前者はその名の通り細胞(幹細胞)を含む治療です(細胞に基づいた治療)。当然、 拒絶反応などの問題がありますので、 患者様ご本人の細胞を利用しなければなりません。一方、後者はセル(細胞)フリーと言うことから、アルコールフリーでも馴染みがあるかと思いますが、細胞を含まない治療となります。細胞が入っていない訳ですから本人の物を利用する必要はなく、他人の物で予め作成していたものをすぐに利用できます。この場合、培養上清液は健康で感染症を持っていない若いボランティアからの組織提供により作製しておりますので、年齢や体質による個人差は出にくいのも利点です。

細胞が有る場合と細胞が無い場合の違いは?

一般的に細胞がある治療は、純粋に細胞を補うことが目的となります。つまり、損傷した組織を細胞が直接修復して補うことが期待されます。 ただ、 その一方で多くの間葉系幹細胞治療の場合は、 細胞が永久に残らずに最終的に無くなってしまうとも言われています。この場合でも少なくとも数週間は体内に存在していて、その間に様々な組織再生因子や抗炎症作用のある因子、成長因子など多くのタンパクを放出することで組織を修復し、対象の病態を改善することが期待されています。我が国では、治験とは別に脳梗塞後や肝機能不全、下肢血流障害、骨軟骨損傷、歯牙・歯槽骨関連疾患、移植片対宿主病(GVHD)などを対象に、医師の責任において行う臨床研究・治療がたくさん行われています。 最近の臨床治験では、 Covid-19による重症肺炎後の広範囲に損傷された肺の再生に脂肪組織由来間葉系幹細胞療法の治験が2020年8月から始まってたことは有名かと思います。 このように結果が示されているところです。

つまり、現時点で世界的にコンセンサスを得ているものとしては、以下のようになります。
間葉系幹細胞療法 (細胞を用いた治療) は投与された幹細胞が生着して分化し、 直接組織を修復再生すること、 そして同時に幹細胞が分泌する物質 (エクソソーム) による組織再生促進作用が言われています。間葉系幹細胞に代表される体性幹細胞の場合は、ES細胞やiPS細胞と違って無限に増殖を繰り返すことがないため、最終的には移植細胞は消失してしまいますが、癌化などのリスクはとても低いということです。

一方、 幹細胞培養上清液点滴という治療もあります。これは幹細胞という言葉が入っているために患者様には上記で述べた幹細胞治療と混乱してしまい同じ治療だと誤解を招くことが多いのですが、最近、巷でも美容液などの化粧品や点滴良く目にする機会が増えてきた幹細胞という言葉、これら多くがこの幹細胞培養上清液というのがキーワードとなります。

実際には先に説明した細胞治療でも主役となる幹細胞が放出する再生因子、成長因子、抗炎症因子などが幹細胞を人工的に増やして育てている培養液の中にはふんだんに含まれていて(Conditioned Mediumという)、それを濃縮したものを点滴で全身に投与するという治療が幹細胞培養上清液点滴療法と呼んでいます。この治療の利点は、実際に点滴内には培養した細胞は含まれないため、自己の細胞である必要がなく、他人の細胞由来の成長因子等を利用できるため、準備が不要であることです。また、若い健常なボランティアから細胞を頂き、幹細胞培養を行いその上澄液から必要となるエクソソームなどを含めた多数のサイトカインや成長因子を抽出してくるため、患者さんご自身ご年齢に左右されずある一定の質が担保されるところも利点です。ただ、幹細胞として細胞自体を投与するわけではありませんので、徐放的に再生因子等が作用することは期待できず、極端に言ってしまえば、投与した時の成分が全身を巡って終わりとなりますから、効果はより一時的となりある程度短い期間での継続的投与が必要となることが多くなります。

Niche(微小環境)の重要性!

ここでとても重要だと思っていることは、 幹細胞には幹細胞自身も重要ですが、それを取り囲む微小環境”ニッチ”というものの存在です。『Stem Cells and the Niche』。 幹細胞治療を行う上で、この両方の組み合わせが重要です。 大学の臨床研究でも痛感されることですが、 従来の体性幹細胞移植治療では数ヶ月も保たない疾患に対して、 幹細胞移植であれば数年から長くて10年保ちます。 しかし、10年以上は難しいことも経験され、そこには明らかな限界があるわけです。 そこには、対象疾患が発症した理由を考える必要があります。 組織を修復してくれるはずの幹細胞が疲弊した理由、 正常の組織を維持できなくなった理由が明確にあるはずで、 炎症が長続くことで正常な組織は線維化や瘢痕化を主体とした異常組織となっており、 幹細胞自信を維持するための環境自体が失われてしまっていることが根幹にあります。 いくら良い種でも荒れてしまった土地に撒いたところで良い芽がでない、 それどころかそもそも芽すら出ないこともあるわけです。

幹細胞自体はとても重要な因子ですが、 それを受け入れて維持する環境も正常でないといけません。これがNicheの概念で、 『Stem Cells & the Niche』 (幹細胞と微小環境) と言うセットの考え方の基本になります。 そもそも幹細胞自身は理論的にはその一つの細胞が多分化能 (色々な種類の細胞に変化し得る) を有し、 自己複製能(自分自身を無限に増やすことができる)を有するという物ですが、幹細胞は魔法の細胞でもなく、特に体性幹細胞は無限に増殖する細胞ではありません。あくまで受け入れる側の状態も重要な要素であり、総合的に考えた際には幹細胞治療にはある程度の限界があると言うことを知っておかなければなりません。

厳密に言うと違う治療である

つまり、 我々の考える幹細胞治療は細胞を補う治療では、 その受け入れる側の状態も良い状態である必要がありますので、最大の効果を得るためには、自己管理も大切で睡眠や食事の栄養バランス、 そしてその他の生活習慣の是正なども必須と考えています。そう言う意味では、 高額な費用のかかる幹細胞治療よりも幹細胞培養上清点滴療法の方が費用的にも負担が少なく受けやすい治療となりますので、考え方によっては細胞を利用しない上清点滴でも十分であるという考え方の研究者がいるのは理解できるところです。 ただ、細胞自体は含まれないということは完全に細胞が分泌するエクソソームなどのみが実際に効果を発揮するということになりますから、 その効果を持続させようと思えば、ある程度定期的な投与が必要になります。ただ、これもずっと行わないといけないかというと、必ずしもそうではないと思っています。身体の状態が良くなればその状態の維持もより楽になりますし、 一旦改善すれば生活習慣の改善のみで維持ができることもあるでしょう。

幹細胞上清点滴はそんな身体の基本的な状態をまず改善させる治療として効果的と考えています。
その点でも美容的な観点でアンチエイジング目的となることが多い治療となっているわけです。
さらには間葉系幹細胞療法に併用することで、投与した幹細胞自体がしっかりと効果を発揮できますので、幹細胞にとって幹細胞培養上清は適切な微小環境” Niche” を提供するためにとても有効な物であると言えます。

適応

  • 脳神経疾患・末梢神経障害
  • アレルギー性皮膚炎
  • 虚血性心疾患
  • 加齢に伴う肌の変化(ハリや弾力、皺やシミ)
  • 間質性肺炎
  • 抜け毛・薄毛
  • 肝炎・肝疾患
  • 男女更年期障害・不妊症(ホルモンバランス異常)
  • 糖尿病
  • 慢性疲労・腰痛・肩こり
  • 骨粗鬆症・関節疾患
  • 免疫力低下
  • 歯周病
  • 不眠症

など

※効果には個人差があります。

局所投与について

幹細胞培養上清液は、点滴による全身投与以外に関節内や関節周囲や筋肉・腱などの消炎や修復に対して局所注射による治療も有効です。

また、毛治療にも頭皮への直接注射も行っています。
(ご自身の血液から作成するACRS:自己サイトカインリッチ血清の注射も同様に効果的です)

また、EDに対しての局所注射や、その他、感覚器に対して点鼻や点眼など投与が可能です。

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